LAST UPDATE 2002/08/08
●第4話「次世代DVD関連情報」−13「ホログラフィック・ディスク話題の2社」
最近何かと話題を提供しているホログラフィック・ディスクですが、最近の動向をニュースより抜粋し中でも話題の2社
"InPhase Technologies社"
と
"オプトウエア"
について筆者なりにまとめてみます。
乱暴な言い方をしてしまえば、平面に記録するより立体に記録する方がたくさん記録できますよ!ということでしょうが
2ビーム方式や1ビーム方式、記録ディスクの区切り方など様々な相違点もあるようです。
次世代DVDや他のディスク方式が規格の優劣を競っていますが、利用分野や目的、コストパフォーマンスにより
うまくすみ分けが出来、光記録方式がもっと広まることを希望しています。(H.G)
●InPhase Technologies社のホログラフィック・システム
○「NAB 2002(米ラスベガス)」でホログラフィック媒体を使う記録システムを実演
2002.3.26
米InPhase Technologies社は,2002年4月8日〜11日に米国ラスベガスで開催される放送機器関連の展示会「NAB2002」
において,ホログラフィック記録媒体を使う録画システム「Tapestry」のデモンストレーションを行うと発表した。
InPhase Technologies社は、米Lucent Technologies社のBell Labから生まれたベンチャー企業で、ホログラフィック記録技術は
Bell Labの研究成果を基礎としています。同社はホログラフィック記録技術について40件以上の特許を保有するそうです。
媒体の形状はディスクで、切手サイズで2Gバイト、クレジットカードサイズで20Gバイト、ディスク1枚で100Gバイトが可能。
100Gバイトとは非圧縮のデジタルHDTV映像を30分記録できる容量です。媒体は追記型でデータ転送速度は160Mビット/秒。
今後の目標値はT(テラ)バイト級のディスクの実現だそうです。
事業展開計画は、まず放送局用システムをアプリケーションに定め、記録再生装置や記録媒体の技術を提携企業に
ライセンス、2003年末までの製品化を予定。同時期までに少量のサンプル出荷を開始し,2004年には量産出荷を開始したいそうです。
同社は、Tapestryシステム実用化のカギは高分子系のホログラフィック記録材料にあるとしていますが、材料の詳細などは
今のところ明らかにしていません。低コスト化が可能で、30年のデータ保持を保証できるということです。
○「NAB 2002」100Gバイトでも価格はDVD並みのホログラフィック記録技術
2002.4.12
米InPhase Technologies社は2002年4月8日〜11日に米国ラスベガスで開催された「NAB2002」に合わせ、会場近くのホテルで
同社のホログラフィック記録技術「Tapestory」の実演を見せた。面記録密度は高くDVDと同じ直径12cmの透明なディスク媒体1枚で
100Gバイトの記録容量を実現できるという。
同社のPresident兼CEOのNelson Diaz氏のコメント
「装置は安価にできる。構成する部品としてDVD装置や液晶プロジェクタなどで使っているものを流用できるからだ。
ディスク媒体の製造コストもDVD並みにできる」
ホログラフィック記録方式は、信号光と参照光という照射角度の異なる2つのレーザ光を使います。
信号光は、記録したいデータに応じて2次元バーコードのようなイメージに変調しておきます(この際、DMD素子などを
空間変調器=SLMとして使います)。この信号光と参照光を媒体上の記録したい部分で互いに交わらせると
その部分に作り出される干渉波のパターンが、媒体内の記録層に立体的に書き込まれます。
データの再生時は、記録したときと同じ照射角度で参照光のみを当てます。そうすると参照光が干渉パターンに
作用することで信号光のイメージが再現されます。この2次元パターンをCMOS型固体撮像素子などでとらえて
元のデータを復号化するのです。今回は同じ場所でも照射角度が変われば異なるデータを記録できるという
ホログラフィック記録の特性を利用して、ミラーなどでレーザ光の入射角を変えながら1カ所の記録スポットに
複数の干渉パターンを記録します。具体的には2mm×3mmの特定領域に、1Mバイトに相当する干渉パターンを
800〜900枚も書き込めるそうです。
実演では、MP3方式の音声データとMPEG-4方式の動画データを用いて記録と再生が可能なことを明らかにしたそうです。
今回の実演ではグリーンレーザーを用い、媒体はディスクではなく3cm×3cm程度のカード状だった様です。
記録時のデータ転送速度は最大20Mバイト/秒だそうです。
○「ISOM/ODS 2002(米ハワイ)」2004年に商用化狙うホログラフィック記録技術を披露
2002.7.9
米InPhase Technologies社はISOM/ODS 2002で、2004年の商用化を目指すホログラフィック記録再生技術
について発表した。同社は既にホログラフィック記録再生のデモンストレーションを2002年4月に開催された
「NAB 2002」などで公開済み。
現在開発中のディスク直径は12cmで、対応する5.25インチ型の記録再生装置の試作機を2003年第1四半期に完成予定。
当初予定している媒体の記録容量は100Gバイト、データ転送速度は20Mバイト/秒、平均シーク時間250ms。
2007年には面記録密度にして1Tビット、データ転送速度250Mバイト/秒の達成を目指すとのことです。
ディスク媒体は,2枚の樹脂製基板の間に記録材料を挟んで張り合わせた構造で、製造には「ZeroWave」と呼ぶ
独自開発のプロセスを利用するそうです。現在、米Imation Corp.と量産技術を開発中。
媒体は長さ3mm厚さ1.5mm程度の「Book」と呼ぶ領域に区切って使い、ディスク1枚に1500程度の「Book」が存在。
さらに1つのBookは1000の「Page」から成り、「Page」にはそれぞれ1Mビットの情報を格納できるそうです。
○「Blu-ray」と差異化のため、ホログラフィック媒体の容量を200Gバイトに引き上げ
2002.8.6
ホログラフィック記録再生技術の開発を手掛けるベンチャー企業である米InPhase Technologies, Inc.は、
2003年末〜2004年の製品化を予定する記録媒体の容量を200Gバイトに引き上げることを明らかにした。
現在同社は、直径130mmのディスク形状のホログラフィック記録媒体と、同媒体に対応する記録再生装置を開発中。
これまでは初期製品の記録容量を100Gバイトと発表していたが、100Gバイトは青紫色レーザ光源を使う
次世代光ディスク規格「Blu-ray Disc」の両面2層媒体でも実現できてしまうため、「Blu-ray」との差異化を図る目的で
容量値の引き上げを決めたと思われる。容量の向上は同一領域に対する重ね書きの回数を増やすことで実現するらしい。
データ転送速度は160Mビット/秒で変更はなし。2004年末に量産出荷を始められるよう技術開発を進めているそうです。
なお同社方式の特長は、トラッキング時は光学系を固定し、ディスク自体を移動させてトラッキングを行うところに
ありそうです。
(ホログラフィック記録など、光ディスクの最近の動向については日経エレクトロニクス2002年8月12日号に詳細記事)
●オプトウエアのホログラフィック・ディスク
○InPhase Technologies社などのホログラフィック記録方式が活発化
2002.3.26
ここにきてホログラフィック記録によりTバイト級のディスクを開発する動きが活発化している。
国内では例えばオプトウエアが製品化に名乗りを挙げている。同社は2002年内にもホログラフィック記録技術を使う
記録再生装置および記録媒体のサンプル出荷を始める予定。容量は数百Gバイト、データ転送速度は数百Mビット/秒
になる見込み。今後3年程度をかけてディスク1枚当たりの記録容量を1Tバイト、データ転送速度1Gビット/秒に
高めていく考えである。
○米Intel Capitalなど7社がオプトウエアのホログラフィック技術に投資
2002.6.18
ホログラフィック技術を使う記録再生装置および媒体の開発を手がけるオプトウエアは、米Intel Capitalや
オリックス・キャピタル、ジャフコ、ダイヤモンドキャピタル、メモリーテック、安田企業投資、UFJキャピタルの
7社から総額5億5000万円の出資を受けたと発表した。
オプトウエアは、直径12cmのディスク1枚に数百Gバイト〜1T(テラ)バイトを格納できる技術の開発を進めており
2003年以降に業務用記録再生装置の製品投入を、2005年の民生用装置の製品化を目指している。
2002年7月16日〜19日に千葉県幕張メッセで開催される「InterOpto’02」では、記録容量200Gバイトの記録媒体と
100Mビット/秒で記録再生可能な評価装置を出展する予定。
○「インターオプト02(幕張)」オプトウエア、ホログラフィック・ディスクの再生デモを初披露
2002.7.17
ホログラフィック技術を使う記録再生装置や媒体の開発を手掛けるオプトウエアは、2002年7月16日〜19日に
千葉県・幕張メッセで開催されている「InterOpto '02」において、初のデモンストレーションを行った。
同社のホログラフィック記録技術は、独自開発した「偏光コリニア・ホログラフィ」と呼ぶ方式を使って1ビームで
ホログラフィック記録再生を行えることが特徴だそうです。一般の光ディスク向けに開発されたサーボ機構などを流用でき
装置が簡素になるという利点は米InPhase Technologies社と同じ。媒体も現行CDやDVDと同じ直径12cmのディスク形状です。
同社は今回ホログラフィック記録材料の評価に向けた装置「T-VRD」を出展し、同装置を使ったデモを行いました。
専用カートリッジに収めたディスクを評価装置に挿入すると、装置内部でディスクはカートリッジから取り出され
10秒ほどで駆動系に固定されます。このあと説明員がディスプレイにディスク面のエラー分布などを表示させたり
ディスク上にあらかじめ記録しておいたデータを読み出して画面上に表示させたりしました。
今回デモに使ったデータの容量はわずか2Kバイトで、あくまで材料評価装置として特徴を説明するにとどまった。
同装置は、任意のファイルをディスク上に記録する場合に使う「ストレージ・モード」と、特定のテスト用パターンを
利用して評価を行える「メディア・テスト・モード」を備えるとのことです。
ディスクの記録容量については、記録材料のホログラム・パターンの重ね具合などの特性により異なるとして明確には
言及しなかったようです。フォーマット上は100Gバイト〜1Tバイトに対応するそうです。
1ページ当たり30Kビットの情報を干渉縞として媒体に記録します。このうち16Kビットがユーザー容量で、残りの14Kビットを
誤り訂正などに用いる冗長ビットです。記録膜面上のビーム・スポット径は500μmで、10μmピッチで重ね合わせが可能。
展示機のデータ転送速度は最大130Mビット/秒で、ディスクの回転数は100rpm。
評価装置は予定通り2002年末に発売、価格は5000万円程度の予定でそうです。
同社の今後の製品化ロードマップについては、2003年末までに放送業界などに向けて業務用の追記型記録再生装置を投入。
大きさは、19インチ型ラック・マウントに合わせる予定。再生専用装置の開発も並行して行う。業務用装置の製造は
ライセンス供与により他社に委託したいとのこと。2005年には民生用を狙う5インチ型の追記型記録再生装置を事業化する
予定で、2003年内のフォーマット確定を目指すとのことです。
(記録再生原理や媒体フォーマットについては日経エレクトロニクス2002年5月6日号に詳細記事)
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