Laser IroIro
 LAST UPDATE 2002/05/02
 ●第6話「進展する短波長半導体レーザー」(Laser Expo 2002 特別セミナーより)


  2002年のレーザーエキスポも無事終了しました。決して天候に恵まれたとは言えない中を、予想以上のご来場いただき、
  皆さんの"このままではいけない!"という熱意を感じました。
  例年展示会と同時開催されるレーザー学会主催の特別セミナーは、今回も充実したラインアップと熱心な聴講者に支えられ盛況でした。
  このセミナーは光産業関係の中では、インターオプトのセミナーなどに比べても決して負けない、最高水準のセミナーだと思います。
  筆者も展示会出展のかたわら聴講したいセミナーが多く困りましたが、最近話題の青色レーザーのセミナーのみ受講できましたので
  紹介させていただきます。
  他のセミナーにつきましても講演予稿集が展示会事務局にて残数のみ販売の予定もあるそうなのでお問い合せ下さい。



 ○「高出力GaN半導体レーザー」
   ソニー白石セミコンダクタ滑J発センター 係長 竹谷 元伸 氏

   以前にも他で書きましたが、筆者が初めて青色半導体レーザーの発振光を見たのは5年ほど前のインターオプト、
   ソニーのブースでした。その時の説明ではあくまで試作品との事でしたが、きれいな青いビームは今でも記憶に
   はっきり残っています。ソニーも諸処の事情があり、発売時期や価格については公表できないとの事でしたが、
   私達もここまで出来ています!という意気込みがひしひしと伝わってくる講演でした。

   ソニーでは、次世代高密度光ディスク用光源として信頼性と共に、総合的なレーザー特性においても実用レベルを
   クリアしなければならないと考えている。現在では60℃、30mWにおける平均故障時間(MTTF)は12000時間、
   80℃動作でのキンクレベルは100mW以上、アスペクト比は〜2.4、ノイズ特性ではわずか出力1.5mWの低出力
   においても−125dB/Hz以下を達成している。
   ソニーでは将来の量産化に備えて結晶成長段階での大面積化の検討を行い、3インチφサファイア基板上においても
   優れた均一性で高特性のデバイスを作製することに成功した。さらに今後要求されるであろう更なる高出力化、
   低消費電力化に対しても、その特性改善に成果を上げている。
   さらに内部ロスを低減させるレーザー構造を試作し、基本特性の向上および高い特性温度(235K)のレーザーを実現。
   将来の2層化等に対応した高出力レーザーの準備も整いつつある。

 ○「GaN系半導体レーザの現状と応用」
   日亜化学工業鞄結梛Z術センター 部長代理 岡内 茂樹 氏

   青紫色半導体レーザーで他社に先駆けて商品展開されている日亜化学工業より、青紫色半導体レーザーの
   現状と、光ストレージ(簡単に言えば次世代DVD)と他の産業用途の拡がりについて講演がありました。
   先駆者はやはりその名誉と共に、業界をリードして行く責任を充分全うされていることを実感しました。

   日亜化学工業では、GaN系半導体レーザの最大のコンシューマは光ストレージ分野(次世代高密度光ディスク)
   であると考えているが、波長の広帯域化を通して従来の産業用光源を置き換えるだけでなく、さらに従来光源では
   達成できなかった波長の半導体レーザを商品化することにより、各種露光、樹脂硬化、計測、検査・検出、印刷、
   バイオ・医療、表示機器等の光源への展開がさらに進んでいくものと考えている。
   GaN系半導体レーザの光ストレージ分野以外の産業分野に関してHeCdレーザ(325、442nm)、Arイオンレーザ
   (458、488、514nm)、超高圧水銀ランプ(365、405、436nm)等の光源に比べ、消費電力、サイズの大幅な
   低減が可能となるため、置き換えの利点は明らかである。

  ・365nm 各種露光装置やキュアリング機器、励起用の光源として利用される。特に励起用途では、この波長に限らず
   紫外域の波長で、バイオ分野において、細胞分析などへの展開が可能。
  ・405nm 従来の赤色LDに比べ波長が短いため、解像度の向上や、より細かいものの検出が可能となるため、
   顕微鏡や干渉計、パーティクルカウンタ等に適用。また印刷機器において、印刷用の原版を露光するための装置(CtP装置)
   が製品化されている。一方各種露光機用の光源や医療用途として要求される高出力化も開発が進んでいる。
  ・442nm 印刷、検査・検出機器等の光源として利用。2001年3月よりエンジニアリングサンプル提供中。
  ・458nm 印刷、表示機器の光源として利用。純青色光源として期待できる市場。
  ・488nm バイオ関連、測定機器、検査・検出機器の光源として利用。特にバイオ関連では、DNA検出のタグとなる
   蛍光体の励起波長の多くが488、514nmとなっている。

 ○「量産に適した青紫色半導体レーザ」
   日本電気褐・無線デバイス研究所 主任 倉本 大 氏

   日本の誇る半導体量産メーカーとして、高品質な量産とはこういうことさ!という主張が聞こえてきます。
   確かに新しいものを造り上げることの値打ちは否定できませんが、高品質なものを大量につくる技術も一朝一夕には
   実現できないものだと思います。もしそのことに価値が少なくただの物真似なら、日本の製造業はここまでには
   ならなかったでしょう。

   GaN系半導体レーザダイオードはDVDなどの次世代光ディスクシステムにおけるキーデバイスです。
   光ディスクシステムではレーザスポットを0.4μm程度まで絞り込むため、質の良い安定したレーザビーム形状を
   持ち、同時に装置の低価格化のために廉価であることも必要です。しかし現状の技術では歩留まり良く作製することは
   難しく、さらに絶縁性の基板を用いているためプロセスが複雑で低コスト化が難しいなどの”量産性に乏しい”という
   問題点があります。NECでは、レーザビームを精密かつ容易に制御できる独自の素子構造を開発し、良好なレーザ特性
   を実現しました。
   NECでは、量産性に優れたGaN系LDの作製を目的とし、導電性の低転位GaN基板と選択成長技術を利用した新しい
   RiS型GaN系LDを開発しました。プロセスの容易性、工程数の削減、作製マージンの改善がされたLD構造で、
   しきい値電流が低く、ビーム形状の優れた素子を実現することができました。


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