2.光アライアンス2001年12月号 日本工業出版
LAST UPDATE 2002/01/10
各種光学系対応の青紫色半導体レーザーユニット
その開発時には「夢の光」と言われたレーザー光線も、当初「巨大な装置・多額の設備費・困難な
操作性」というおよそ産業界で用途拡大しにくい問題点をかかえていた。しかし半導体レーザーの
開発・実用化に伴い、その応用範囲は飛躍的に拡大した。
すでに半導体レーザーは、CD・MD・DVD等のディスク装置を、常時携帯できる大きさとし
スーパーマーケットや宅配便などのバーコードリーダーとしても私達の生活に不可欠のものとなっている。
中でも光ファイバーによる高速インターネット環境の充実と、DVDによる大容量記録メディアの普及は
私達の生活そのものを変えていく大きな可能性に満ちている。
現在、光ファイバー用半導体レーザーは主に1500nmの赤外波長を用いている。DVDにおいては650nm
の可視光赤色波長を用いている。今までの方法に比べて格段に早い通信速度や、大容量の記録媒体で
ある事は、すでに皆さんご存じのとおりである。
一方で、更なる高性能化の要望は尽きることがない。その為に開発されたのが青紫色半導体レーザー
である。
ご存知のように青紫色半導体レーザーは日亜化学工業(徳島県阿南市)が世界に先駆けて開発した
画期的な半導体レーザーである。当時の開発担当者である中村修二氏が開発、その名を世界に
知らしめた事はまだ記憶に新しいと思う。
青紫色半導体レーザーの最大の用途はDVD(デジタル多用途ディスク)の情報の書き込み・読み出し
に使う光ヘッドである。光はその性質上、波長が短いほどビームを細く絞ることが出来る。つまり
高密度記録が可能になるのである。
次世代DVDは、早ければ2003年ごろから青紫色半導体レーザーに移行する見通しで、容量が
現在の約5倍の25ギガバイト程度、10時間分の映画が記録出来るようになる見込みである。
青紫色半導体レーザーに不可欠の窒化ガリウム半導体は、従来の半導体よりも短波長の光を出せる
が、硬くてもろく加工が難しいという問題点を抱える。世界初の青紫色半導体レーザーを出した
日亜化学工業のほか、NEC、豊田合成、シャープ、東芝などが実用化を競ってきた。
ここにきて、今まで日亜化学工業独占だった市場に変化が生じている。各社とも目前に迫った次世代
DVD量産化のために動きが生じている。
日亜化学は青紫色半導体レーザーのサンプル出荷をすでに開始し、2002年4月から波長が405nm
タイプの量産を開始する。 豊田合成は波長が410nmの半導体レーザーを名城大学と共同開発し、
年内をメドにサンプル出荷を始める予定。両社は青色発光ダイオードを巡る特許紛争をかかえており
青紫色レーザーに関しても複数の特許を取得している。
一方NECも新構造の410nm青紫色半導体レーザーを開発。製造プロセスを簡略化し、加工時の
材料への損傷も少なくするなど量産化に適した構造を持つため歩留まりが向上し、より低価格での
商品化を目指す。ただし、窒化ガリウムを使った青紫色レーザーの基本特許は日亜化学工業などが
押さえているため、NECは実用化に向けて日亜化学とのクロスライセンス契約を申し入れるようだ。
また日亜化学工業より早く、試作品を展示会にて発表しながら、その後表だった動きのなかった
ソニーも白石セミコンダクタが、アスペクト比が2.3と小さい高出力の青紫色半導体レーザを開発した
と発表している。
各社の競争が激化することは、ユーザーとしてはその選択肢が拡がり、現時点では非常に良いこと
と思われる。しかし赤色半導体レーザーでもおきた、量産による「作れば作るだけ赤字になる」
状態が、また繰り返されるのか心配でもある。
私共キコー技研は、赤色半導体レーザーの普及初期より赤色レーザー光源等を手がけ、様々な業界
・用途にレーザーユニットを供給してきた。そして、この度の青紫色半導体レーザーの量産化に伴う
低コスト化の流れの中で、DVD以外の用途にも、その波長域における特性による効果が期待できる
と考えた。
基本的に赤色半導体レーザーに対して、青紫色半導体レーザーを用いるメリットは、その波長にある。
DVDの高密度記録装置に用いられるように、光の直進性は波長が3分の2となれば、光の集光性も
高まり、理論値は3分の2まで小さくなると考えられる。
今までの赤色半導体レーザーは最短波長が635nmであった。これに対して紫色半導体レーザーは
405nmを実現している。
また、レーザー光の波長による特性は、現在も各界で研究が進められているように未知数である。
特に医療関係では生体に与える波長域毎の特性に高い関心が寄せられている。
このような背景を受けて、私共の会社でも各界の研究用として、また量産を前提とした試作機の
開発用として青紫色半導体レーザーの光源ユニットを製造販売している。
現在は青紫色のレーザーダイオード自体が非常に高価なものであるが、来るべき量産を考慮したコスト
ダウンがなされれば、DVD関連以外の各界でも、その応用範囲は赤色半導体レーザーと同じように
拡がって行くと考えられる。
上記の医療関連でも、すでに紫色のレーザー光を用いての喉頭癌の早期発見方法が実用化されて
いる。例えば、半導体レーザーの小型軽量化と低価格が、この検査方法の早期拡大を促せば、その
社会に対する貢献度も、非常に高いものとなるであろう。
私共の会社では、赤色半導体レーザーの光源装置に携わってきた実績と経験を生かし、紫色半導体
レーザーでも各種の光学系を組み合わせることで、あらゆる産業界での紫色レーザー光を用いた装置の
開発・普及に貢献できればと考えている。ここでは弊社製品の種類を紹介させていただく。
・MLXタイプ
MLXタイプは、弊社半導体レーザーの標準品として大変広範囲の利用者より好評をいただいている。
高精度の非球面レンズによりコリメート光から任意の焦点距離に集光することまでが可能である。
また半導体レーザーの安定発振のために独自のAPC(自動出力安定回路)を搭載している。
最近好評なのは、レーザーユニット自体に光軸微調整の機能を持たせたタイプである。半導体レーザー
の光は、その構造からどうしても固体毎の発光方向のバラツキが出てしまうので、精度を要求する使用
方法では光軸調整機能が不可欠になる。その機能をユニット自体に持たせることで、装置の小型化にも
貢献する。
・MLX(405nm)仕様
○型式/MLX−D16−405−5
○電源電圧/DC4.5〜5.5V ○負荷電流/60〜130mA
○光波長/405nm±5nm ○光出力/約3mW
○パルス制御/立ち上がり遅れ約2ms(TTL入力及オープンコレクター入力)
○コリメーターレンズ/非球面ガラスレンズ
○外形寸法/φ16(+0.1)mm×約53mm(レンズ部可変長) ○本体重量/約15g
*電源はアダプター附属のAC100Vタイプもある(型式:MLX-A16-405-5)
・MLXLタイプ
MLXLタイプは、MLXタイプの仕様にライン光(スリット光)のための光学系を付加した製品である。
ライン光を利用する場合も、一旦レーザー光を集光するため非球面レンズの性能が大きく左右する。
画像処理関連では、このレンズの性能が装置の性能を決定してしまうほど重要である。
・MLXL光学系仕様
○焦点可変範囲/50mm〜平行光
○光出射効率/LD出力に対して約70%(LD依存)
○コリメーターレンズ/非球面ガラスレンズ ○レンズF/f=9mm
○ラインレンズ/ロッドガラスレンズ
○ライン長/照射距離100cm ショートライン設定時約50cm ロングライン設定時約150cm
・MLXCタイプ
MLXCタイプは、MLXLタイプが1本線のラインであるのに対してクロス(十文字)のライン光
のための光学系を付加している。レーザー光を、位置指示用として用いる場合、クロスのライン光は
その中心位置を示すのに有効である。さらにクラスラインの交差角度の精度を上げたタイプも別に
製造している。
・MLXC光学系仕様
○焦点可変範囲/50mm〜平行光
○光出射効率/LD出力に対して約65%(LD依存)
○コリメーターレンズ/非球面ガラスレンズ ○レンズF/f=9mm
○クロスラインレンズ/シリンドリカルガラスレンズ
○ライン長/照射距離100cm 縦ライン約20cm 横ライン約20cm
・MLXGタイプ
ミクロンポイントMLXGタイプは、十数μmのスポット径を高輝度近距離にて達成したレーザー
光源である。特に精密な位置合わせや画像・計測処理に最適。
・MLXG光学系仕様
○光出射効率/LD出力に対して約75%(LD依存)
○集光レンズ/ガラス組レンズ
※当製品は、セミオーダー方式の製造方法を採用している。レーザーヘッドからの希望する
照射距離を発注時に明記することで、希望の光に調整後出荷する。ただしLDの種類に
よっては希望に添えない場合もある。
・MLXHタイプ
ミクロンラインレーザーMLXHタイプは、十数μmのライン幅を高輝度近距離にて達成した
レーザー光源である。特に精密な位置合わせや画像計測処理に適している。
・MLXH光学系仕様
○光出射効率/LD出力に対して約75%(LD依存)
○集光レンズ/ガラス組レンズ
※当製品は、セミオーダー方式の製造方法を採用している。レーザーヘッドからの、照射
距離及び希望するライン光の長さを発注時に明記することで、希望の光に調整後出荷する。
ただしLDの種類によっては希望に添えない場合もある。
・MLXKタイプ
輝度均一ラインレーザーMLXKタイプは、従来のレーザーライン光源で問題となっていた
ライン光の中心部と両端部の輝度・エネルギー分布差を、より均一に近づけたレーザーライン
光源です。
・MLXK光学系仕様
○光出射効率/LD出力に対して約30〜50%(LD依存)
○コリメーターレンズ/非球面ガラスレンズ
○ラインレンズ/ロッドガラスレンズ
※当製品は、セミオーダー方式の製造方法を採用している。レーザーヘッドからの、照射
距離及び希望するライン光の長さを発注時に明記することで、希望の光に調整後出荷する。
ただしLDの種類によっては希望に添えない場合もある。
・MLXBタイプ
MLXBタイプ(遠距離用)は、各種半導体レーザー素子の特性を考慮し最適な状態で安定発振
するように設計されたレーザーユニットである。
照射距離100m以上でもレーザー光の拡散が最少となるよう光学設計されている。
・MLXB光学系仕様
○焦点可変範囲/2m〜200m
○光出射効率/LD出力に対して約25%(LD依存)
○コリメーターレンズ/専用ガラスレンズ
○出射口径/φ18mm又はφ12mm(マスク付)
○スポット径/φ15mm(距離200m)
以上のように私共の会社では青紫色半導体レーザーの発振だけでなく、様々な業界や使い方に
対応できる様に各種光学系の異なるタイプも製造している。
今後ますます利用範囲の拡大して行くであろう赤色半導体レーザーと共に、青紫色半導体レーザーが
様々な分野で利用される日も近いと考えている。
そのために現在は、非常に高価である青紫色半導体レーザーユニットを、少しでも低価格で
各研究施設に納入させてもらう事が、青紫色半導体レーザーの早期普及に役立てばと考えている。
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