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 LAST UPDATE 2001/05/18

  レーザー色々 第1回「低出力レーザの医療への応用」
  ○最新の光化学療法(PDT)の成果と将来展望〜日本歯科医師会雑誌 Vol.52 No.8 1999-11より〜

   Photo Dynamic Therapy(PDT,以前は光線力学的療法と呼ばれたが最近は光化学療法
   言われる)とは、光感受性薬剤と光(レーザー光)による光化学反応を利用した新しい癌の
   治療法
です。
   この治療に用いられる光感受性薬剤(ポルフェマーナトリウム、現在市販されているのは
   フォトフリンのみ)は、癌組織に集まりやすく出て行きにくいため、静脈内に注射し、癌組織と
   癌周囲の健常組織との薬剤濃度の差が顕著になる48〜72時間後に患部(癌)に光(エキシマ
   ・ダイ・レーザー)を照射することにより、癌組織内に活性酸素(一重項酸素)を発生させ、その
   作用で癌細胞を変性・壊死させることが出来ます。
   また、このPDTに使用されるレーザーは低出力で、光感受性のない正常組織にはほとんど
   傷害を与えないので、低侵襲で機能保存に優れた治療法です。
   現在国内では、臨床病期0,T期肺癌,表在性食道癌,表在性早期胃癌,子宮頸部の
   初期癌と異形状の一部
(手術等他の根治的治療の不可能な場合、あるいは肺または子宮頸部
   の機能保存が必要な患者に他の治療法が使用出来ない場合)が適応とされ、健康保険の適用
   となっています。

   現在PDT用に市販・使用されている光感受性薬剤は、ポリフィマーナトリウム(商品名
   フォトフリン)のみで、光感受性薬剤が選択的に腫瘍に集積する性質を利用して、健常組織
   と腫瘍組織を区別し、患部にレーザー光を照射することにより腫瘍組織だけを選択的に
   損傷することができ、周囲の健常組織への傷害を最小限に抑えることができる。
   ポリフィマーナトリウムは静脈内に投与し、48〜72時間後に組織内濃度を測定すると
   健常組織からはほとんどが排泄されているのに対し、腫瘍組織には高密度に残存している
   ことから、選択的な腫瘍集積性があることが分かっている。
   ポリフィマーナトリウムが高密度に残存している腫瘍部に、ポリフィマーナトリウムの
   特異的吸収波長
である630nmのレーザー光(エキシマ・ダイ・レーザー)を照射すると
   ポリフィマーナトリウムが励起され、一部の励起分子は三重項状態となる。この励起
   三重項分子が腫瘍組織内に溶存している分子状酸素と接触するとエネルギーを分子状酸素
   に伝達し、分子状酸素は活性化されて一重項酸素となる。一重項酸素は反応性に富み
   腫瘍細胞内の生理活性分子を酸化・変性させ、腫瘍細胞を壊死させる。

   PDTの有用性

    (1)PDTは非観血的な局所療法であり、手術可能例および不可能例のいずれの早期癌
    にも適応でき、高い奏効率を得ることができる安全性の高い療法である。

    (2)手術により根治が可能な症例では手術が第一選択の治療法ではあるが、術後の
    機能低下は避けられない。機能温存を目的とする治療法としてPDTは優れた
    治療法である。

    (3)合併症などにより手術不可能な早期癌に対してPDTは最初に試みるべき治療法
    である。PDTは著効が得られなくても、次の治療を妨げない。

   PDTの問題点と今後の展望

    (1)現在承認・市販されている光感受性薬剤は、ポリフィマーナトリウムのみで
    約4週間の遮光が必要である。この期間も個人差があり中には2ヶ月近く
    遮光病室を出られなかった患者もいた。
    今後の対策としては、代謝が早く投与後速やかに体外に排泄される薬剤の開発
    または遮光の必要のない新しい光感受性薬剤の開発が望まれる。

    (2)現在の治療法ではレーザー光が深部にまで到達しないため、表在性の癌のみが
    適応となっている。エキシマ・ダイ・レーザーの深達性は7mmほどであるが
    組織内刺入回転照射式の治療法が確立すれば、肝癌や脳腫瘍などの実質臓器に
    できた固形癌も治療の対象になるだろう。

    (3)表面照射で10mmや20mmまで照射できれば適応は飛躍的に増大すると
    思われるが、現在のレーザーでは無理である。波長680〜690nmで
    水に吸収されないで深達でき、その波長で光化学反応が起きるような薬と
    レーザーが同時に開発される必要がある。
    また現在使用されているレーザーは大型で高価であるためなかなか本治療が
    普及しない(現在国内でPDTが行える病院は20カ所ほどしかない)。


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